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死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90 

「えっ、日本って、死刑があるの?」 ― イタリア便り

フォーラム90ニュースレター12月号掲載の報告記事
8 dicembre 2010 - Yukari Saito
Fonte: Forum90 地球が決めた死刑廃止 Newsletter vol. 113 - 10 dicembre 2010

locandina del convegno @ MIC

 さる10月上旬、イタリア中部、陶芸で有名な中世の町ファエンツァで死刑をテーマにしたシンポジウムが開かれた。町のシンボル国際陶芸博物館で特別展開催中の二点の作品、陶製の「電気椅子」にちなみ、博物館と地元のアムネスティなどが企画。死刑をめぐる世界の状況とアメリカ合衆国および日本の現状についての報告、朗読やビデオの上映、歌とコントラバスの演奏などが盛り込まれた4時間ほどのイベントで、平日の午前中だったが、博物館内のホールに学生や市民が120人余り集まった。

 イタリアは、死刑廃止の先進国を自負する。18世紀末、フィレンツェを首都とするトスカーナ大公国が、世界で初めて国家として死刑および拷問を法律で禁止した伝統があるからだろう。(ちなみに、イタリアの片隅にあるサン・マリーノ共和国も、1468年の執行を最後に一度も死刑を行なっておらず、実質的には世界最古の死刑廃止国である。) その後、死刑はファシズム政権下で1920年代に復活したものの、戦後改めて廃止され、今ではEU加盟の条件に廃止が含まれている。つまりイタリアの人々にとっては、死刑はないのが当り前であるらしい。

 そのせいか、このシンポジウムに日本が取り上げられていること自体が、大多数の人たちにとっては驚きだったようである。実際、アメリカの死刑はマスコミでもしばしば報道され、執行停止を求める署名活動などもよく行われているし、中国についてもしばしば話題になる。が、日本については、知る人ぞ知る。ないものだと頭から信じている人の多さは、フォーラム90の名代で報告を行なった私にとっても意外な発見だった。

 とはいえ、イタリアの世論がつねに断固死刑に反対しているのかといえば、決してそうではない。折しもマスコミは、一月半ほど行方不明になっていた17歳の女の子が死体で発見され、犯人が同居していた叔父だったと発覚した事件でもちきりだった。そして、あるインターネットの世論調査では、凶悪な犯罪については死刑の復活もやむを得ないという意見が60%近くに及び、死刑を復活させるべきかという問いには、42%が賛成と答えて、復活はさせるべきではないが恩赦や釈放の可能性をゼロにすべきだという回答とほぼ同じ割合だった。 

 実際、日本の世論の死刑制度支持率の高さも、シンポジウムの聴衆にはさしたる衝撃も与えなかったようだ。ただ、こうした世論が一時的な感情論であることを、彼らは自覚しているような印象を私は受けた。日本の実態に関して深い与えたのは、むしろ、被害者感情の重視である。理屈はわかるけれど、どうもピンとこない、といった反応だった。「わたしたちは、悪いことをした人間が天の裁きを受けるべきだとは考えても、被害者に代わって国にその人間を殺してもらいたいとは思わないんじゃないかな。」そうコメントしたのは、イベントで裏方を務めてくれた女性だ。国家権力に対する信頼度が極端に低いイタリアならではの見解だと言えるかもしれない。

フォーラム90が満20歳に!

2010年12月19日午後2時半から

日比谷公会堂で大集会!

詳細は http://www.jca.apc.org/stop-shikei/wordpress/wp-content/uploads/2010/11/flyer1.pdf 

 

 

Mr.HAKAMADA

 ファエンツァのシンポジウム参加は、アムネスティ・インターナショナルのイタリア支部死刑廃止キャンペーン・チームの人たちとの出会いももたらしてくれた。シンポジウムには、アムネスティ・イタリア支部現事務局長のクリスティン・ヴァイスさんも出席、報告したが、遠方からわざわざ聞きにきてくれた死刑問題担当グループに彼女が引き合わせてくれたのだ。このつながりは、今後の情報提供や協力関係に大いに役立つだろう。まずは、日本に死刑が存在することをイタリアの人たちに広く知ってもらい、日本向けのはたらきかけの適切な方法を模索していくのが、当面の課題である。

 一方、10月末には、ローマ映画祭で、今年封切になった高橋伴明監督の『BOX 袴田事件 命とは』が上映され、大いに評判を得たという。アムネスティのイタリア支部は早速、イタリアでの一般公開にむけて動き出したようだ。また、通常の署名活動でも、今年いっぱい袴田さんのケースが取り上げられている。最大の交渉相手である肝心の日本の法務大臣が、いったいだれになるのか、今一つはっきりしないのが、いささか心もとないけれど、フォーラム90は、イタリアの市民の声援に期待できると思う。

 

Note:

http://www.jca.apc.org/stop-shikei/