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イタリアの小村で一足早い“米大統領選” 外国人にも選ぶ権利と主催者側

世界の超大国アメリカ合衆国の次期大統領選挙に世界中が注目する中、米国籍を持たない市民が投票に「参加」する場所が現れた。イタリア中部トスカーナ州リヴォルノ県にある小さな海辺の村、その名をラ・カリフォルニアだ。米国の政治動向は世界の運命を変える可能性がある。だから国籍のない外国人もアメリカの大統領を選ぶ権利があるとの理屈だ。こうしたユニークな試みは世界でも初めてだ。
Yukari Saito
Fonte: Nikkan Berita - 02 novembre 2004

 

 10月31日、本国に先駆けて「投票」が行なわれた。ラ・カリフォルニアの地名の由来は、20世紀の初め、米国に移住させてやるとの甘言にだまされた南イタリア・シチリア島の貧しい農民たちが、「ここがカリフォルニアだよ」と言われるままに信じて下船したエピソードにあるといわれている。現在は、イタリアで最もきれいな海水を誇る海岸が呼び物の観光地。

 皮肉とユーモアたっぷりのこのイベントは、イタリア中部都市ボローニャの若手の映画監督4人の発案に、同村が共鳴、実現した。

 「アメリカ合衆国は、地球全体の運命を左右し支配する世界一の強国。だったら、ぼくたちだって彼らの、いや、われわれの大統領を選ぶ権利があっていいはずだ」という趣旨だ。

 四つ折の投票用紙には、ブッシュとケリー両候補はもちろん、第三の候補ネーダー氏ばかりか、理由を述べれば自分の好きな別の候補の名を書き込むことも可能。第4の候補者はアメリカ市民でなくても構わない。

 選挙権は、ラ・カリフォルニアの住民に限らず、誰でも行使できる。インターネットで設けられたサイトwww.forpresident.it (英・伊語)で選挙人名簿にメールアドレスを書き込んで登録し、認識番号を受け取って行うこともできる。

 「合衆国で行われる選挙だって、決して公正さ、厳密さの鏡とは言えないようだし、ぼくたちが正確さに目くじら立てることもないでしょう」。主催者側は、そうコメントする。

 朝9時から夜8時まで投票所の設けられたカリフォルニア村の中央広場では、前夜からパネル・ディスカッションや映画上映などが開かれ、当日もコンサートや即興劇の上演ほか、地元の名物料理を供する場も設けられ、郷土祭りさながらの賑わいだったようだ。

 開票結果は、米国の選挙日11月2日に発表される。しかし、31日夜の出口調査によると、ケリー候補が70%を獲得、ブッシュ現大統領の得票率は6パーセントから10%にとどまる見込みらしい。

 当初は、開票結果をホワイト・ハウスに届ける予定だったが、法律的に不可能なことが判明したため、在イタリア米国大使館に報告するにとどめるという。

 2001年9月11日の米同時多発テロの直後、ヨーロッパの市民たちが抱いた米国民への素朴な同情の現れ、そして、その後のアフガニスタンへの報復攻撃を決断したブッシュ政権の支持を訴えた政治家やジャーナリストたちが頻発したせりふは「私たちはみな、アメリカ人」だった。

 が、「はたして自分たちは本当にみんな、アメリカ人なのだろうか」という疑問は、少なからぬイタリア人が抱いていたようだ。なぜ、ツイン・タワー周辺にいた「アメリカ人」には同情を感じるくせに、「アフガニスタン人」、「イラク人」が殺されるのは平気で見ていられるのか。2001年から2002年にかけて各地で行われた反戦デモには、「私たちはみな、アフガニスタン人」と書いたプラカードを掲げる市民の姿も現われたのは、こうした疑問を反映している。

 しかし、この模擬選挙で掲げられた「私たちはみな、アメリカ人?」という、疑問符を加えたスローガンには、超大国アメリカと世界の残りの地域の市民との関係を考え直すだけでなく、国籍と選挙権との関係にも疑問を投げかけたいというより広い意図が込められているらしい。

 

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