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イタリア兵にまた劣化ウランの犠牲者 計24人に

Yukari Saito
Fonte: 日刊ベリタ NikkanBerita - 07 febbraio 2004

 

 

 イタリア陸軍の上級伍長としてバルカン半島におけるPKO活動に参加し、帰国後発病した白血病と闘っていたヴァレリー・メリスさん(26歳)が4日夜、郷里のサルデーニャ島カリアリ市で死亡した。劣化ウランによるイタリア兵の病死は、これで24件目になる。イタリア国営衛星放送RAI NEWS24が5日、報じた。

 メリスさんは、1999年、マケドニア、アルバニアおよびコソボで北大西洋条約機構(NATO)軍のPKO活動に参加、帰還後まもなく体調を崩し、白血病と診断された。

一緒に従軍した兵士のあいだに類似の病死が相次ぐ中、コソボで活動中に劣化ウラン弾の粉塵を吸ったことによる発病の疑いが濃くなり、軍当局に労災認定を求めていたが、認められず医療援助もほとんど受けないまま他界した。

 たまたまサルデーニャ島を訪問中だったイタリアのマルティーノ国防相は5日、メリス上級伍長の訃報についてイタリア国営放送RAI3からコメントを求められ、次のように回答した。

「国会の特別調査委員会は、海外に派遣されたイタリア兵の癌発病率がほかのイタリア兵の平均よりも高いこと、またバルカン半島に派遣されたNATO軍のなかでもイタリア兵の発病率が高いことを確認しているが、原因についてはわかっていない」

 現在、ホジキンリンパ腫や癌、白血病と闘っているイタリア帰還兵の数は、公安関係者の組合オッセルヴァトーレ・ミリターレ(ミリタリー・ウォッチ)によると、263人。バルカン半島でPKO活動に従事したNATO軍のなかでイタリア兵の発病率がフランス兵に次いで高い事実について、同組合の劣化ウラン問題責任者ドメニコ・レッジエーロ准尉は、「PKOのために送り込まれた先が、劣化ウランの大量に投下された地域だったこと、イタ リア軍首脳部が兵士の安全の配慮を完全に怠ったことの二つが主な原因」と説明、次のように軍の責任を告発する。

「劣化ウランの危険性についてはすでに1990年からはっきりしていて、米軍内では安全確保の指導がなされていたのにもかかわらず、伊軍首脳部はそれを無視した。完全武装して活動にあたる米軍兵士の姿に疑問を抱いた兵士に対し、上官がアメリカ人は神経質だから、というような答えしかしていなかった事実がある以上、イタリア兵の被爆に関する責任は主にイタリア軍首脳部にあるといえる」

 1月31日にサルデーニャ島のカリアリ市でメリスさんの労災認定を求める市民のデモが行なわれたばかり。6日夜にも同市で抗議デモが開かれる予定。

 イタリアでは、赤十字社などがバルカン半島で被曝発病した住民をイタリアの医療機関で治療するなどの援助活動を行なっている。

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