Un articolo pubblicato 8 anni fa, ma forse utile per il Giappone di oggi
「電力の安定供給は地域規模の小システムと代替エネルギーで」 イタリア大停電でWWFが政府を批判
Ripubblichiamo un articolo giapponese del 4 ottobre 2003 pubblicato sul giornale online Nikkan Berita, perche' rileggerlo oggi ci aiuterebbe a capire meglio in che mondo viviamo.
Yukari Saito
Fonte: Nikkan Berita - 04 ottobre 2003
イタリア全土を襲った大停電からほぼ1週間たった今、国内では当初の不安と怒りと疑問が責任の所在とエネルギー政策をめぐる議論へと発展しつつある。停電直後から政府関係者の発言を細かくチェックしている、世界自然保護基金(WWF)イタリア支部の前委員長で現在は科学文化局長をつとめるジャンフランコ・ボローニャ氏は日刊ベリタのインタビューで、 政府発言の根拠のなさを指摘。「エネルギーの安定供給を保証するためには、巨大システムではなく、地域ごとの需要を満たす小規模で効率のよいシステムに切りかえるとともに、再生可能な代替エネルギーの利用を推進すべきだ」と訴えた。サルデーニャ島をのぞくイタリア全土で大規模な停電が起きたのは9月28日午前3時半。そのニュースがまたたく間に世界中に伝わったことも知らず、当のイタリア人たちの多くは理由もわからぬまま文字通り闇の中をさまよった。3時間から20時間近くにわたり電力なしでは万事が滞る文明社会の脆さを味わうのは、6月末の予防措置的停電に次いで今年二度目の体験である。
イタリア政府の発表によると、原因は悪天候でスイスからの送電線が破損、突然に3000メガワットもの 電力供給量がカットされて全国の送電網の流れが止まる連鎖反応が起きたという。しかし、スイス当局は停電の30分近く前に事故を通報したと主張、これを否定するイタリア側とのあいだで責任をなすりつけ合っている。しかも政府は、復旧がまだ終わらないうちから国民に、今後もいつまた停電するかわからないと宣言した。マルツァーノ産業活動相いわく、「今年のクリスマスごろに再び起こる可能性もあり、リスクは2004年いっぱい避けられない。世界情勢に左右される石油と輸入エネルギーへの依存が高い現状では電力供給が需要に追いつかないからだ。そもそもの原因は、原子力発電を廃止した1987年の国民投票にあり、今、そのツケがきているのだ。安定供給を保証するには石炭を中心に新たな発電所の建設が絶対に不可欠である」これに対し、環境保護団体やエネルギー部門の労働者組合は一斉に反発。停電を口実に発電所増設へ向けて世論の説得を狙うものとして政府の姿勢を激しく非難している。ボローニャ氏との一問一答は次のとおり。▽巨大システムのもろさを露呈
Q: 28日の停電はスイスの送電線事故が原因で起きた連鎖反応だったようだが、なぜイタリア全土を巻き込むほど大規模な影響が出たのか。
「巨大な施設と少数のセンターからなるこの国の発電システムの弱点をさらし出した事故といえる。大き過ぎるシステムは、何か突然の異変が起こると、融通が利かずうまく対処できない。小さな事故やミスでも要となる点に起これば、一発でアウト、国全体がストップする。今回はスイスだったけれど、明日に国内の別の地点で同じことが起きても不思議じゃない。28日にサルデーニャ島だけが難を逃れたのは、たまたまメンテナンスのために全国供給網との接続が遮断されて独自の施設で発電していたから。この点に注目すべきだ。WWFはかねてから、地域ごとに需要を満たす小規模で効率のよい発電、供給システムに移行することによってエネルギーの安定供給を保証できると主張し続けている。そのほうが、突然の事故への対応が容易で、何か起こったときに影響を受ける地域が小さくて済むし、また環境にも配慮できる」Q: つまり、この停電は避けられた?「もちろん。イタリアには、7万7000メガワットもの国内電力生産能力がすでにあり、輸入電力は6000メガワット。電力消費が供給を脅かすはずもない夜中に、なぜ輸入エネルギーに頼っていたのか、大いに疑問が残る」▽エネルギーの自由市場依存は危険
Q: 6月末の停電に続く今回の経験は、アメリカ東海岸やロンドンの停電のニュースと相まって国民のあいだに停電恐怖症を引き起こしているように見える。政府はエネルギーの輸入依存がネックになっているといい、解決策は新しい発電所の建設しかないと訴えているが。「今回の停電は暑くも寒くもない季節の週末、しかも未明という電力消費量のきわめて少ない瞬間に起きたものだ。7万7000メガワットの生産能力に対して需要はたったの2万2000メガワットに過ぎなかった。この事実だけで、エネルギー不足の問題ではないことは明らかである。2万2000メガワットというのは、なんと国内の水力発電所だけで供給できる量をわずかに上回るものなのだから。皮肉な見方をすれば、輸入に頼らず環境を破壊しない代替エネルギーだけで自足できた需要なのだ。つまり、わが国で起こるブラックアウトは、生産量、生産能力の不足が原因ではないと断言できる。それなのに、発電所増設論がまかりとおるとは、不思議だ」Q: すると、政府が強調する発電所増設は、まったく必要ないのか。
「およそナンセンスな提案だ。改善すべきは発電能力の規模ではなくすでにある電力の供給管理と効率なのに、故意に問題をすり替えている。イタリアでは、エネルギー計画をエネルギー生産増大計画と混同する傾向がある。エネルギー部門が自由市場に委ねられてしまっているせいだ。利潤追求を存在理由としている市場は安定したエネルギー供給の保証などする能力はない。それに対してWWFは、発電・送電設備、家電のエネルギー効率を向上させるほうが先決だと考える。イタリアでは、これらの効率をよくするだけで、約40%のエネルギーが節約できるのだから」Q: マルツァーノ産業活動相がかねてから建設したがっているのは、火力発電所?「石油は世界情勢の観点から安定供給に問題があるため、石炭を再評価しようというのが現政権の方針だ。石炭だって輸入に頼らざるを得ないのだから、何の解決にもならないのに、これも謎に包まれている」Q: 同相は原子力発電への未練も相当あるようだが。「イタリアは、1987年に国民投票で脱原発を選択した。しかし、残念なことに現政権になってから、久しく影をひそめていた脱原発再考の動きが浮上し、その旗手となっているのが産業活動相だ。もっとも現実問題として、安全性や環境問題を別にしても、大規模なシステムを要し始動と廃止に莫大なコストのかかる原発がイタリアに再び建設される可能性はほぼ皆無だろう。むしろ、原子力エネルギーの輸入を警戒すべきだろう」
▽政府は発想転換の勇気を持てQ: 他の資源による発電は? 風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能な代替エネルギーの利用拡大を求める声は?「停電のリスクを避けたければ、まさにその方向へ動くべきだ。ところが、政府は環境相を含め、きわめて消極的である」Q: 今年7月にイタリアで開かれた欧州連合(EU)の環境エネルギー閣僚会議の記者会見で、太陽エネルギー利用の取り組みについて問われたマルツァーニ産業活動相は、「まさかフィアットの自動車工場を回転させられるわけじゃあるまいし」と一笑に付した。「利害関係も絡んでいるに違いないが、何よりも代替エネルギーについて無知なのだと思う。そもそも発想を転換する勇気がない。技術的には充分可能なのに、意欲と先見の明がないのだ。化石燃料から再生可能なエネルギー源へ本格的に移行しようとすれば、当然、最初はコストがかかる。それで採算があわないとすぐ切り捨ててしまうのだ。しかし、気候変動にブレーキをかけるために二酸化炭素排出量の削減を定めた京都議定書の目標を本気で達成しようとすれば、太陽、風力、地熱エネルギー等の開発と普及を奨励、支援する以外に道はない」Q: イタリアは「おお、わが太陽よ(オー・ソーレ・ミオ)」の国なのに、太陽エネルギーの利用が総発電量の0,001%以下だ。マッティオーリ環境相にいわせると、この国では太陽光発電のパネルが美しい屋根を台無しにすると国民や自治体の反発が強いそうだが。
「言うに事欠いて、冗談にもならない言い訳だね。だったら衛星放送用のアンテナで散々景観を損ねているのはどうなるのかと問いたいものだ。イタリアで最も太陽電池の利用が普及している県は北端でオーストリアに接するボルツァーノ。およそ不可解だが、この国の実態を象徴している一例といえる。現実に普及を阻んでいるのは、コスト。もっと国や地方自治体が援助すべきなのだ。京都議定書の目標を達成するために、EUでは2010年までに再生可能な資源による発電の割合を22%まで引き上げる目標を定めているが、先日、WWFが発表した調査によると、17%を上回らない見込みになっている。そして、イタリアは、イギリス、ギリシャ、フランスとともに足を引っ張っている劣等生なのだ。優等生はデンマークとアイルランドで目標値を上回る予定だ。ドイツ、スペインも積極的でいい線を行っている。このように技術的困難ならぬ政治的な意志の欠如ゆえに目標が達成できないのは、じつに遺憾の限りだ」 |
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