【参考資料】
イタリアの国民投票について 歴史と種類
2011年6月にイタリアで行われた脱原発をめぐる国民投票は、福島第一原発事故から日の浅い日本でも大きな注目を浴びました。
イタリアの国民投票について、しばしば質問を受けるので、ここに簡単にまとめてみました。
イタリアの国民投票について、しばしば質問を受けるので、ここに簡単にまとめてみました。
7 febbraio 2013
Fonte: 資料センター《雪の下の種》
イタリアの「国民投票referendum」には、実は、一番最初に行なわれた国家体制をめぐるものの他に、現憲法下で想定されている2種類があります。
① 王制か共和制かの選択を求め、1946年6月2日に行われた国 家の政治体制に関する国民投票
② 現行法の一部または全部の廃止を求める国民投票(イ タリア共和国憲法 75条)
離婚を可能にした法律の廃止を求めた1974年5月実施ものが最初で、以後、 16回実施されたものの、うち7回は投票率が50%に満たず、無効になりました。
投票率が50%を超えた場合、賛成が多ければ、その法律は効力を失います。
日本でも周知のとおり、1987年11月と2011年6月の原発をめぐる国民投票は、これに属します。
このケースの国民投票は、50万人の有権者もしくは5つの州議会が求めた場合に、 まず破棄裁判所が形式審査を、次いで憲法裁判所が国民投票として適法かどうか (除外事項に該当しないかどうか)の内容審査を行って判断を下します。
この最後の審査ですが、国民投票に該当しないものに、租税法、予算、特赦、恩赦、 国際条約の批准を許可するか否かがあります。
③ 憲法および憲法に関する法律の改正をめぐる国民投票(イ タリア共和国憲法 138条)
憲法もしくは憲法に付随する法律の改正は、上下院の両方で過半数により可決された場合、 どちらか一方の議会の5分の1以上もしくは有権者50万人もしくは5つ以上の州議会が請求すれば、 国民投票にかけられます。
ただし、上下院で2度にわたり3分の2以上の賛成を得て可決された場合には、国民投票に かけることはできなくなります。
この種の国民投票は、過去に2回行われています。
1回目は、2001年10月で地方自治に関するもの(賛成多数)
2回目は、2006年6月でやはり地方自治に関するものでしたが、反対多数でした。
尚、憲法改正に関する国民投票の場合は、投票率が50%を超える必要はありません。
このほかに、憲 法132条では、州(Regione)の統合または新設、 県(Provincia)・市町村(Comune)のある州から他の州への所属の移転 をめぐるreferendum の規定もありますが、いずれも投票は関係する地域に限られたもの なので、「国民投票」ではなく「住民投票」になります。
また、イタリア共和国憲法の規定には該当しませんが、1989年6月の欧州議会選挙の際に、 欧州議会に欧州憲法制定の権限を与えるか否かについて国民投票が同時に行われました。
個々投票の詳細については、こちらに記載されています。
◇ イタリアにおける国民投票の種類
http://it.wikipedia.org/wiki/Referendum_in_Italia
◇ 過去の国民投票の結果
http://it.wikipedia.org/wiki/Consultazioni_referendarie_in_Italia